- コラム
【プロが本音で解説】湘南で「すぐ売れる家」と「売りにくい家」、その差はどこにある?
「お隣さんは、売りに出してすぐ買い手がついたのに、うちの家は問い合わせすらない…」
「同じ湘南エリアで、広さも築年数も似ているのに、なぜ売却価格にこんなに差があるの?」
不動産の売却を考えたとき、誰もがこうした疑問を抱きます。
実は、物件の価値は土地の広さや築年数だけで決まるわけではありません。買主が内見でチェックするポイント、そして私たちプロが査定で重視するポイントには、図面だけではわからない「売れる家」ならではの共通点があるのです。
この記事では、あなたの家が「売れる家」なのか、それとも「売りにくい家」なのかをセルフチェックできるプロの視点と、もし「売りにくい家」だった場合の対策を本音で解説します。
大前提:動かせないけど最も重要!「立地」の本当の意味
不動産の価値を左右する最大の要因が「立地」であることは、皆さんもご存知の通りです。しかし、湘南エリアにおける「良い立地」とは、単に「駅から近い」だけではありません。
- アクセスの質: 「駅徒歩10分」でも、急な坂道の上の物件と、平坦な道の物件とでは評価が大きく変わります。特に「海までフラットアクセス」は、自転車やサーフボードを持っての移動が多い湘南ならではの、強力なアピールポイントです。
- ハザードリスク: 津波や浸水のハザードマップでエリア内か外か、高台か低地かは、買主が非常に気にするポイントです。安全性の高さは、価格に直結します。
- 周辺環境: 「人気の小学校区」であること、スーパーや公園が近くにあること、車の出し入れがしやすい静かな住環境であることなども、特にファミリー層にとっては重要な判断基準となります。
これらの要素は変えることが難しいため、もしご自身の家の立地に強みがあれば、それは最大限にアピールすべきポイントになります。
【プロの査定チェックリスト】あなたの家はどっち?売れやすさを左右する5つのポイント
動かせない立地以外の要素、つまり「建物そのものの魅力」は、売れやすさを大きく左右します。私たちプロが内見や査定で特に注目する5つのポイントを見ていきましょう。
① 間取りと生活動線
- 売れる◎:
時代に合った「広いLDK(リビング・ダイニング・キッチン)」
豊富な収納(ウォークインクローゼット、シューズクロークなど)
効率的な家事動線(キッチンと洗面所が近いなど)
リモートワークにも使える書斎やカウンタースペース - 売りにくい△:
細かく仕切られた和室中心の間取り
リビングが狭く、家族が集まるスペースがない
生活動線が複雑で、暮らしにくさが想像できてしまう
【プロの視点】
さらに私たちが見るポイントは「将来の可変性」です。例えば、今は広い一つの子供部屋でも、将来的に壁で仕切って二部屋にできる構造になっているか、逆に子供の独立後に壁を抜いてリビングと一体化できるかなど、ライフステージの変化に対応できる柔軟な間取りは高く評価されます。
② 日当たりと風通し
- 売れる◎:
やはり一番人気の「南向きリビング」で日当たりが良い
角地や角部屋で、複数の方向から光や風が入る
窓が多く、日中でも照明なしで明るい - 売りにくい△:
隣の家との距離が近く、一日中薄暗い
窓が少なく、空気がこもりがちで湿っぽい印象がある
【プロの視点】
私たちは、お客様が内見する短い時間だけでなく、季節や時間による日の入り方の違いも考慮します。「午前中は明るいけれど、午後には西日がきつい」「夏は風が抜けて涼しいが、冬は底冷えが厳しい」など、実際に住んだ時の快適さを想像できるかどうかが、買主の決断を後押しするのです。
③ 建物のコンディションとメンテナンス履歴
- 売れる◎:
清潔感のあるキッチン、浴室、トイレなどの水回り
定期的に外壁や屋根のメンテナンスを行っている(記録があれば尚良し)
雨漏りの跡や、壁・基礎の大きなひび割れがない - 売りにくい△:
設備の古さが目立ち、交換に費用がかかりそうだと感じる
外壁の汚れや剥がれ、庭の手入れがされておらず、管理状態が悪い印象を与える
【プロの視点】
最近では、売主様が事前に「ホームインスペクション(住宅診断)」を実施するケースも増えています。専門家によるチェックで「お墨付き」を得ることで、買主は安心して購入できます。たとえ小さな問題が見つかっても、修繕した上で売却することで、結果的に交渉がスムーズに進み、高く売れるケースも少なくありません。
④ 駐車スペースと前面道路
- 売れる◎:
車社会の湘南では「駐車場2台以上」は大きな強み
前面道路が広く、ミニバンなど大きな車でも楽に駐車できる - 売りにくい△:
そもそも駐車場がない(月極駐車場も近くにない)
駐車スペースが極端に狭い、前の道が狭くて停めにくい
(論外)接道義務を果たしておらず「再建築不可」の物件
【プロの視点】
また、前面道路が「公道」か「私道」かも重要なチェック項目です。特に私道の場合は、権利関係がどうなっているか、将来的な維持管理コストはどうなるのかなどを明確にしておかないと、買主が住宅ローンを組む際の障壁となり、売却の大きな妨げになることがあります。
⑤ 言葉にしにくい「印象」や“湘南らしさ”という付加価値
- 売れる◎:
手入れの行き届いた庭や、開放的なウッドデッキがある
玄関を開けた瞬間に「わぁ、素敵」と感じる清潔感や明るさ
サーフボード置き場や屋外シャワーなど、湘南ライフを楽しめる設備 - 売りにくい△:
個性的すぎるデザインや奇抜な色の内装
家全体にタバコやペットの匂いが染み付いている
「売りにくい家」を「魅力的な家」に変えるヒント
もし、ご自身の家が「売りにくい」要素に多く当てはまっても、諦める必要はありません。少し手を加えるだけで、家の価値や印象は大きく変わります。
- 部分リフォーム: 全面的なリノベーションは費用がかさみますが、「キッチンだけ最新のものに交換する」「古くなった壁紙を張り替える」だけでも、内見時の印象は劇的に向上します。
- 外壁塗装: 最も費用対効果が高いリフォームの一つ。外観が綺麗になるだけで、家全体が新しく見え、買主の安心感に繋がります。
- ホームステージング: プロに依頼して、売却する家に家具や小物を配置し、モデルルームのように演出する手法です。空き家の状態で内見するよりも、適切な家具が配置されている方が部屋の広さや生活のイメージが格段に掴みやすくなります。特にリビングやダイニングに効果的で、費用対効果の高い手法として注目されています。
- 庭の手入れと不用品の処分: まずはコストをかけずにできることから。雑草を抜き、不要なものを捨てるだけでも、家は広く、明るく見えます。
まとめ:まずは「自分の家の現在地」を正しく知ることから
この記事で挙げたポイントは、あくまで一般的な傾向です。本当の価値は、様々な要素を総合的に見て判断されます。
ネットの自動査定では、こうした個別の事情や建物のコンディション、湘南ならではの付加価値までは評価できません。
「売れる家」の強みを最大限にアピールし、「売りにくい家」の弱みをカバーする最適な対策を考えるためにも、まずは一度、地域を熟知したプロに相談し、ご自身の家の「本当の価値=現在地」を正しく知ることが、満足のいく売却への第一歩と言えるでしょう。
この記事は、湘南エリアの不動産売却を専門にサポートする「湘南空き家バンク」がお届けしました。無料査定も承っておりますので、お気軽にご相談ください。