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空き家を売りたい・貸したい方へ |湘南エリアの市場動向と対策|

湘南エリアで空き家を所有している皆様にとって、使っていない家をどうするかは大きな課題です。
実は神奈川県全体では約47万戸もの空き家があり、全国で3番目に多い状況です。
湘南地域でも少子高齢化や人口減少に伴って空き家は増加傾向にあります。

湘南を構成する市町村の空き家数と空き家率(2023年度)

  • 小田原市:11,820戸(12.37%)
  • 箱根町:空き家率11.2%(戸数非公表)
  • 真鶴町:568戸(18.5%)
  • 湯河原町:5,730戸(34.15%)
  • 大磯町:2,150戸(13.62%)
  • 二宮町:1,830戸(13.77%)
  • 平塚市:14,850戸(11.70%)
  • 茅ヶ崎市:10,680戸(9.16%)
  • 藤沢市:21,160戸(9.61%)
  • 南足柄市:2,080戸(11.34%)
  • 開成町:680戸(8.42%)
  • 大井町:670戸(8.74%)
  • 松田町:60戸(1.3%)
  • 中井町:226戸(6.1%)
  • 山北町:約400戸(約10%)

空き家を放置すれば老朽化が進み、治安や景観への影響に加え、倒壊など安全面のリスクも高まります。
また、適切に管理されない空き家は行政から「特定空家」等に指定され、住宅用地の税優遇が外れて固定資産税が増額される可能性もあります。
こうした背景から、「売る」「貸す」といった活用策に踏み出すことが、所有者にとっても地域にとっても重要になっています。

湘南エリアの不動産市場動向:今が売却・活用の好機?

湘南地域の不動産市場は近年活発化しており、空き家を手放したい・活用したいオーナーにとって追い風と言える状況です。
東日本不動産流通機構(REINS)の最新データによれば、湘南地区における中古住宅の成約件数は2024年末から急増し、2025年2~4月は前年同月比で20~70%増という大幅な伸びを示しました。成約価格も上昇傾向にあり、市場は活況です。

湘南・藤沢エリアではコロナ禍以降のテレワーク普及も後押しし、都心からの移住希望者が増加。藤沢市では2022年に転入超過が約3,459人にのぼり、茅ヶ崎市や平塚市でも人口が微増しています。海や自然環境の魅力、程よい都市利便性と手頃な住宅価格が評価され、湘南全域が子育て世代を中心に「選ばれる街」になっているのです。

一方で、賃貸ニーズの高さも見逃せません。とくに藤沢市周辺では新築アパート建設の停滞や既存入居者の定着により「借りられる空き部屋が非常に少ない」状態が続いており、良質な賃貸物件は募集開始前に決まってしまうことも。売買・賃貸双方で需要が堅調な湘南エリアでは、空き家オーナーが行動を起こす好機と言えるでしょう。

空き家オーナーの課題と対策:売る・貸す前に押さえるポイント

1. 空き家の現状把握とメンテナンス

まず、売却・賃貸に出す前に物件の状態を客観的に把握しましょう。長年空き家だった場合、構造や設備に不具合が潜んでいる可能性があります。壁のひび割れ、雨漏り跡、カビの発生などはないかチェックし、必要に応じて専門家による住宅診断(インスペクション)を依頼すると安心です。

見えない欠陥を放置すると、後々修繕費が嵩んで売却額を下げる要因にもなりかねません。適切な補修や清掃・庭木の剪定など最低限のメンテナンスを施すことで、物件の印象と価値を高める効果があります。

2. 売却か賃貸か方針決定

空き家を現金化したいのか、賃料収入を得たいのか、まず方針を明確にします。早期にまとまった資金が必要であれば売却が有力ですが、思い出の詰まった実家などですぐに手放すのに抵抗がある場合や将来的に戻る可能性がある場合は、賃貸活用も選択肢です。

湘南エリアは不動産価格が高止まり傾向とはいえ、築古物件は立地や状態によっては大幅なリフォームが必要なケースもあります。市場での類似物件の売出価格や成約事例を不動産会社に査定してもらい、適正価格の把握と戦略立案が重要です。

一方、賃貸に出すなら周辺の家賃相場を調べ、賃料プランを検討しましょう。家主自身が遠方にいる場合は信頼できる地元の不動産管理会社に管理を委託することで、入居者募集から日常管理まで任せられ安心です。

3. 法制度と税金の確認

空き家を売却・賃貸活用する際には関連する法制度も押さえておきます。老朽化が激しい場合、自治体から特定空家等に認定されると前述のように固定資産税の優遇が外れ税負担が増すため、そうなる前に手を打つことが肝心です。

また、相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得の特別控除(被相続空き家の3,000万円特別控除制度)を受けられる可能性があります。税制優遇や補助金などの最新情報は専門家や自治体窓口に確認しましょう。

4. 湘南地域ならではの対策

湘南ならではの地の利を生かす視点も大切です。海が近い物件であればセカンドハウスやリゾート利用を検討する都会の買い手層にアピールできますし、駅徒歩圏の家なら地元で賃貸ニーズが高いファミリー向けにリフォームして貸し出すのも一案です。

築年数が古い木造住宅でも、昭和レトロな平屋や古民家風物件はリノベーション素材として人気が出るケースがあります。ただし1981年以前の旧耐震基準で建てられた家屋は耐震性に不安が残るため、必要に応じ耐震補強や建替えも視野に入れるべきでしょう。

5. 地域の取り組みや制度を活用

藤沢市や茅ヶ崎市では空き家バンク制度を開始し、売却・賃貸希望の物件を自治体サイト上で登録・公開しています。
茅ヶ崎市では宅建業協会などと連携して2024年4月に空き家バンクを開設し、市が所有者アンケート等を通じPRを強化しています。

こうした行政の窓口に相談すれば、物件の掘り起こしからマッチングまで専門家の支援を受けることも可能です。
また神奈川県は県全体の空き家相談窓口や民間団体の取組事例紹介など情報提供にも力を入れており、安心して売却・活用の一歩を踏み出せます。

実用アドバイス:高く売る・上手に貸すためのチェックリスト

  • 市場価格の把握: 複数の不動産会社に査定を依頼し、湘南エリアの適正な売却価格を知る。
  • ターゲット設定: 物件の強み・弱みを分析し、想定ターゲットに合わせたリフォームや演出を検討。
  • 必要書類と権利関係の確認: 登記簿、相続登記、建築確認済証などを整理。
  • 空き家の魅力発信: 湘南らしさや生活の魅力を具体的にアピール(例:海近くでサーフィン向け、静かな環境でリモートワーク向けなど)。
  • 専門家への相談: 空き家相談士や宅建士、不動産会社などに早めに相談。

まとめ~空き家を「負動産」にしないために

湘南エリアの空き家所有者にとって、今まさに行動を起こす好タイミングです。市場動向は追い風であり、適切な対策を講じれば空き家は価値ある資産へと生まれ変わります。

「売りたい」「貸したい」という意思を持ったら、一日でも早く物件の現状把握と情報収集を始めましょう。放置期間が長引くほど建物は傷み、機会損失も大きくなります。

湘南ならではの魅力や地域の支援制度を味方につけ、空き家を地域と新たな持ち主につなぐ架け橋にすることが大切です。
最後に、空き家活用には今回ご紹介した売却・賃貸以外にも民泊やシェアハウス、地域貢献利用など多彩な方法があります。次の記事では、そうした空き家活用の第一歩となる具体策について詳しく見ていきますので、ぜひ参考にしてみてください。